• 音楽好きのための家具屋

    世界中の音楽シーンを根底から揺さぶり、ティーンのためのポップミュージックであるロックンロールを芸術にまで高めてしまった存在、ザ・ビートルズ。

    1962年のデビューからわずか8年の間で凄まじい速度で成長し続け、様々なアイデアで次々に生み出された楽曲はいずれも完成度が高く、それに呼応するようにロックも多様化していった、という事実はいまさら僕が言うまでもない。

    こんなバンド、今後現れることはまずないだろう。

     

    ビートルズの活動といえば一般的に、「4人はアイドル」として世界中を虜にしたビートグループの前期と、コンサートツアーを辞めてスタジオワークに専念した後期に分けられる。

    有名なベスト盤の通称『赤盤』の収録曲が前期、『青盤』の収録曲が後期にあたるが、実際にコンサートツアーを辞めたのは7枚目のアルバム『Revolver』リリース後。

    今回紹介するのは、その前年にリリースされた6枚目の『Rubber Soul』で、個人的には僕が一番最初に聴いたビートルズのアルバムである。

     

    前期と後期の中間点に位置する作品だけあって、実に微妙な立ち位置のアルバムであり、前期のビートグループとしてのスピード感はあるものの、『A Hard Day’s Night』や『Help!』のようなスコーンと抜けた明るさはなく、メロディーやアレンジに若干の陰りがある。

    良く言えば「大人になった」、悪く言えば「地味」といったところか。

    『Norwegian Wood』『michelle』『Girl』『In My Life』といった、前作の『Yesterday』のようなリリカルなスローナンバーが増えたことも、オトナ感や地味さに拍車をかける。

    そして、このアルバムにはビートルズのいわゆる「わかりやすい代表曲」というものが収録されていない。

    それが地味さを感じる所以であるので、あまりビートルズに思い入れがない人はスルーしてしまう作品かも知れないが、ファンの間では恐らく1・2を争う人気作なのではないか、と僕は思う。

    何しろ、全曲が何度聴いても飽きない名曲揃いだ。 今、聴きながら書いていてつくづくそう思う。

    その中でも眉唾が、インドの楽器・シタールを使うという前例のない実験をしながらも、実に美しいフォークナンバーに仕上がった『Norwegian Wood』と、プロデューサーのジョージ・マーティンのピアノソロが印象的な『In My Life』だ。

    肌寒くなる時期になると、僕はこの『Let It Be』や『Hey Jude』にも匹敵する2曲が、無性に聴きたくなるのだ。

     

    正直、中学2年ぐらいの頃に初めて聴いたときには、その良さが全くわからなかったものである。

    しかし、今では最も好きなビートルズのオリジナル・アルバムだ。

    ちなみに、僕がCDとアナログの両方を持っているビートルズの作品はこのアルバムだけ。

    車のCDデッキや部屋のターンテーブルで、僕はこの名盤を一生楽しんでいくに違いない。