• 音楽好きのための家具屋

    いま手元にあるのは、ジ・アニマルズの日本編集のデビューLP『朝日のあたる家』の復刻版CD。

    これを購入したのは高校生の頃で、僕の現在所有しているCDの中で最も古いものの1つだ。学校の近くの小さな楽器屋兼CDショップで、ずいぶん長いこと悩んで買ったことを覚えている。

    当時、洋楽を聴き始めたばかりの僕は、音楽雑誌などの「ロック名盤ガイド」などを参考に、CDレンタルなどを利用して色々と聴き漁っていた、なんともマジメなロック少年だった。

    その中でも、大好きなブルーハーツが最も影響を受けたものが60年代のイギリスのビートグループで、僕もそういったバンドを率先して聴くようにしていた。

    そういったバンドの中でも、本格的な英国産R&Bサウンドを聴かせてくれるのが、このアニマルズ。

    ビートルズやストーンズはもちろん、ザ・フーやスモール・フェイセスなどの60年代英国ビートグループには、幅広い年代のロックリスナーから熱烈な支持を得ているバンドが多いが、このアニマルズが顧みられることはあまりないんじゃないだろうか?

     

    何と言っても、このバンドには華が無い。

    ムッスリとした男たちが立ち並ぶさまは、ストーンズやスモール・フェイセスのような愛くるしさは無いし、そもそも「アニマルズ」というバンド名も、ちょっとダサくて微妙だ。

    そして、そのあまりに黒いサウンド。

    米国のソウルシンガーにも匹敵するエリック・バードンの圧倒的な歌唱力と安定感抜群の演奏は、とにかく渋くてカッコいいのだが、あまりにもこなれすぎていて若々しさとか無鉄砲さにかけるきらいがあり、そういった魅力が満載なストーンズやスモール・フェイセスのデビュー作と比べると、明らかに分が悪い。悪く言えば、地味なのだ。

     

    しかし、そのサウンドの完成度は一級品だ。

    チャック・ベリーの「Around And Around」やジョン・リー・フッカーの「Boom Boom」、ラリー・ウィリアムズの「She Said Yeah」など、同時期の他のバンドも取り上げている米国のR&Bやブルースのカヴァーの本物さは、明らかに抜きん出ている。

    逆に言えば、アニマルズにはオリジナル曲がほとんど無いのだけど。その辺は前回紹介したキンクスとは正反対だ。

    代表曲「The House Of Rising Sun」(朝日のあたる家)もカヴァー曲だけど、このアニマルズのヴァージョンが最も有名なのは周知の事実。

    官能的なギターのイントロから始まって、哀愁漂うメロディーが朗々と唱われるこのナンバー。いかにも日本人好みな雰囲気で、僕も大好きな曲だ。

    このバンドにとって最も特徴的なのは、もちろんエリック・バードンの歌声なのだが、サウンドの要となっているのは、ジョージィ・フェイムやグラハム・ボンドに並ぶ英国きっての鍵盤奏者、アラン・プライスのオルガンだ。

    バンドは60年代後期には空中分解してしまい、エリック・バードンはアメリカに渡ってしまうのだが、アラン・プライス在籍時の初期の2枚のアルバムこそ、アニマルズの真髄なのだと思う。

     

    ロックンロールの初期衝動とは無縁な、あまりにも渋いサウンドではあるけど、このCDは本当によく聴いた。

    これを聴いていたおかげで、本格的なソウルやブルースの世界にもすんなりと入っていけたのではないだろうか?

    現在のストーンズの華々しさとはあまりにもかけ離れているかも知れないが、エリック・バードンも現役で活躍中とのこと。

    いつか、生でそのシャウトを聴いてみたいものだ。