• 音楽好きのための家具屋

    強烈なギターサウンドでグングン突き進む大名曲「You Really Got Me」や「All Day And All Of The Night」など、いわゆる『キンキー・サウンド』と呼ばれるギターリフ主体のロックンロールを生み出したことで知られる、英国が世界に誇るロックンロールバンド、ザ・キンクス。

    その「You Really Got Me」が収録されたファースト・アルバム『The Kinks』は、音楽雑誌やディスクガイドなどで取り上げられる際には総じて評価が低い。

    その原因は、ヴォーカルも含めた全体的なサウンドの軽さ、なのではないだろうか?

    当時の多くの英国バンドのアルバムと同様、収録されている半数以上がチャック・ベリーやドン・コヴェイなどのR&Bやブルースのカヴァーなどだが、ローリング・ストーンズやヤードバーズなどと比べると、黒っぽさが圧倒的に足りない。

    まるで、ビートルズに触発された米国のガレージバンドのような、軽薄ともいえるサウンドだ(それらはまた別の魅力があるのだけれど…)。

    カヴァー曲だけ見れば凡百のビートバンドに埋もれそうだけど、このバンドの魅力はリーダーのレイ・デイヴィスのペンによるオリジナル曲にある。

    何と言っても「You Really Got Me」だ。強烈なギターリフで押し切るサウンドスタイルはハード・ロックの原型とも言われ、今でもロック系のクラブイベントでかかると大合唱がおこる、永遠のロックアンセム。

    その他にも、冒頭のギターイントロがカッコいい「So Mystifying」や、後のパブロックにも通じるスマートなビートナンバー「I Took My Baby Home」、ギターのカッティングとハーモニカの掛け合いがカッコいい攻撃的なインストナンバー「Revenge」、哀愁漂うメロディーが印象的なミディアムナンバー「Stop Your Sobbing」など、オリジナル曲はどれも粒揃い。カヴァー曲と比べると、完成度は歴然としている。

    正直、アルバム全体のまとまりが欠けていて、この時点ではまだまだ発展途上の状態なのだ。

     

    それは、ボーナストラックが12曲加えられた現行のCDを聴いてみてもわかる。

    アルバム未収録のシングル曲は、レイのペンによるオリジナル曲がほとんどで、前述の「All Day And All Of The Night」をはじめ、ハーモニカがカッコいいシャープなガレージナンバー「It’s Alright」やハードボイルドな雰囲気のビートナンバー「I Gotta Move」、ポップなメロディーが切ない「You Do Something To Me」など、こちらも佳作が揃っている。

    このアルバムを聴くにあたっては、僕としてはオリジナルLPよりも、現行のCDをおすすめしたいと思う。

     

    この後、レイのソングライティングの才能は見事に開花。

    セカンドの『Kinda Kinks』、サードの『The Kink Kontroversy』と、アルバムを重ねるごとに完成度は高くなっていき、60年代後期には『The Village Green Preservation Society』や『Arthur Or The Decline And Fall Of The British Empire』といった、古き良き英国の物語をその独特の語り口で紡ぎ出してゆく。

    それらの傑作は、また改めて紹介したい。