• 音楽好きのための家具屋

    常に黒人音楽を信奉して、ビートルズなど自国の先輩たちにも敬意を払い、時代の変化にもしなやかに対応し、いつまでも若々しくフレッシュな存在感を発揮して、今でも英国ロックシーンに睨みを利かせる我らが頼れる兄貴、ポール・ウェラー。

    そのファーストステップが、このザ・ジャムの『イン・ザ・シティ』だ。

    デビューした1977年はパンク・ムーブメントのど真ん中。

    そんな時代に、モッドなブラックスーツに身を包んで、その手にはリッケンバッカーである。

    「懐古主義だ」なんて罵られたりもしたらしいけど、この音を聞けばそんな批判はたわごとに過ぎない、ってことがよく分かる。

    60年代のブリティッシュビートのサウンドを忠実に鳴らしてはいるけれど、そのスピード感と熱量はまぎれもなくパンクだ。

    ビートルズ・ヴァージョンの『Slow Down』や、キンクスのヴァージョンを参考にしたであろう『Batman』などのカバー・ナンバーについても、ちゃんと先輩たちに敬意を払いつつも圧倒的なテンションで鳴らされていて、古さなど微塵も感じない。

    「1・2・3・4!」で始まり「Die! Die! Die!」という掛け声が入る冒頭の『Art School』や、思いっきり「Fuck Off!」と叫ぶ『Time For Truth』もキマってる。

    そして、永遠のモッドパンクチューン『In The City』の色褪せないカッコよさ!

    まさしく初期衝動で鳴らされるロックンロール・アルバムだけど、全く聴き飽きない。

     

    この後、ジャムの音楽性の幅はどんどん広がり、『The Gift』という最高のアルバムをリリースして、人気絶頂期にバンドは解散。

    ポール・ウェラーはスタイル・カウンシルで華々しく活動した後やや低迷し、ソロ活動で見事に復活。

    現在では若干レイドバックした雰囲気を醸し出しながらも、未だに現役バリバリ(もうすぐ還暦)。

     

    しかし、いつでも聴くものをフレッシュな気持ちにしてくれる、このファースト・アルバムの爽やかな青さは永遠だ。